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日銀が大株主の企業ランキング!IR担当向け注目情報を紹介

目次

昨今、物価が大幅に上昇している日本ですが、そのコントロール役を担っているのが日本銀行(通称・日銀)です。
現在の状況に至るまで数々の施策をおこない、株式市場を支えてきました。

また、あらゆる企業の株主でもあり、特に大企業とは密接な関係にあります。

本記事では、日銀が株主となっている企業をはじめ、日銀について深く知ることができる内容となっています。

最後の章では、企業でIR(投資家向け広報活動)を務めている方に有益となる情報も記載していますので、ぜひご覧ください。

日銀の役割

日本銀行は日本で唯一の中央銀行です。
中央銀行とは各国に置かれている公的な銀行のことで、国の金融政策における舵取り役的な存在であることから「通貨の番人」とも呼ばれます。

また、日銀は日本銀行法によってそのあり方が定められている認可法人です。
政府機関や株式会社ではないため、同じ銀行でも営利を目的にするメガバンクや地方銀行とは性質が違います。
日銀は国内における「物価の安定」を最大の目標に、金融市場の調節や政府との国債売買取引をはじめ様々な業務をおこなっています。

ちなみに、米国の中央銀行であるFRB(The Federal Reserve Board、日本語で連邦準備制度理事会)は「雇用の最大化」を政策の柱に置いています。
各国でそれぞれ目標が違う点も中央銀行の特徴です。

これまでに実施された金融政策

ここ数年で著しい物価上昇が起きている日本ですが、それまでは長いデフレーションの時代が続きました。
これには1980年代のバブル崩壊後に日銀がおこなった金融緩和が関係しています。

金融緩和とは市場でよりお金が動くように金利を下げる政策のことで、不景気を脱するために日銀は金融機関や投資家に対してリスクテイクを促してきました。

そのスタートとも言えるのが1999年に導入された「ゼロ金利政策」です。
預貯金で資産を増やしづらい面はあるものの、消費者や企業がよりお金を借りやすい環境にすることで設備投資や事業の意欲を高め、長く伸び悩んでいた日本の物価や賃金を上昇させることが狙いでした。
それから2年後の2001年には、金利ではなく量的な指標を政策の目標に置く「量的緩和政策」が開始されます。

当時はバブル時代の負の遺産とも言える不良債権が金融機関の負担になっており、社会に十分な資金が供給されていない状況でした。
量的緩和政策はこの点を課題と捉え、社会で動くお金の量を相対的に増やし、金融システムの安定化につなげることを目的とした政策です。

「包括的な金融緩和政策」が導入されたのは平成後期の2010年でした。
大量の資金供給という点で量的緩和政策の内容を引き継いでいる部分もありますが、短期だけではなく長期金利の低下も促進したことや、日銀が資産を買い入れて景気の刺激を図るなどこれまでに無い新たな取り組みも創設されました。

同年12月、当時総裁であった白川方明氏の判断で日銀は初めてETF(上場投資信託)の買い入れを実施しています。
黒田東彦総裁となった2013年は日銀を語るうえで外せない年です。
4月に導入した「量的・質的金融緩和政策」は日銀が保有するETF残高を年間で1兆円増加させるほか、マネタリーベース(日銀が世の中に直接的に供給するお金)をそれまでの2倍に増やすことを目標とした大規模な政策で、「異次元金融緩和政策」とも呼ばれました。

しかし、その後も2%の物価上昇という目標を達成する見通しは立たず、2016年1月、金融緩和をより強化するために黒田総裁は日銀の歴史上初めて「マイナス金利政策」を導入することを決定しました。
日銀が金融機関から預かる当座預金の一部にマイナス0.1%の金利をつけることで、預金が積み上がると損をする環境を生み出し、金融機関が世の中にお金を回す狙いがありました。

導入後、貸し出し金利や住宅ローンの金利が大幅に低下したことで企業や消費者が恩恵を受ける場面は生まれましたが、期待していた物価の上昇にはつながらず、金融機関の収益が落ち込むなどの悪影響も出ました。

そして2024年3月、日銀はマイナス金利政策を解除するという大きな政策転換をおこないます。
賃金の上昇を伴うかたちで物価が安定的に2%上昇する「賃金と物価の好循環」が見通せるようになったと判断したからです。

まず変化を見せたのは物価ですが、これは日々の買い物で実感している人が多いでしょう。

また、賃金においても今年の春闘では賃上げをおこなう企業が相次ぎました。
今後さらに上昇する可能性を感じさせる出来事でしたが、資金力で余裕がなく賃上げが進まない中小企業が多くいることも課題です。

日銀が大株主の企業TOP10

前述の「包括的な金融緩和政策」を皮切りに、金融市場で10年以上にわたって積極的に株式を購入してきた日銀ですが、実際にどのような企業の株式を保有しているのか興味がある人も多いかと思います。

そこで、日銀が株主となっている企業上位10社を以下に並べてみました。
なお、数字は各企業の発行済み株式における日銀の保有割合を表しています。

(情報は2023年3月時点のもの)

  • 1位 アドバンテスト 25.6%
  • 2位 TDK  20.4%
  • 3位 ファーストリテイリング 20.2%
  • 4位 太陽誘電 19.8%
  • 5位 東邦亜鉛 19.5%
  • 6位 日東電工 19.4%
  • 7位 トレンドマイクロ 19.2%
  • 8位 東京エレクトロン 18.2%
  • 9位 コムシスホールディングス 18.2%
  • 10位 日産化学 18.1%

堂々の1位に輝いたのは半導体試験装置大手のアドバンテスト。
日銀のシェアは発行済み株式の25.6%とおよそ4分の1を占めています。

続く2位は大手電子部品メーカーのTDKでこちらの保有シェアは20.4%、以降も製造業の企業を中心に20%前後の会社がずらりと並んでいます。

また、保有割合ではなく保有金額で見た場合、上記のランキングは入れ替わってきます。
それを最も象徴する企業が衣料量販店の「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングで、日銀の保有額は実に1.8兆円を超えます。

上記のランキングでは8位、半導体製造装置で国内トップのシェアを誇る東京エレクトロンもあと少しで1.4兆円に届きそうな金額で、1兆円超えを果たしたのはこの2社でした。

なお、保有額順にランキングを並び変えると以下のようになります。

  • 1位 ファーストリテイリング 1兆8,532億円
  • 2位 東京エレクトロン 1兆3,778億円
  • 3位 アドバンテスト 5,968億円
  • 4位 TDK 3,742億円
  • 5位 日東電工 2,480億円
  • 6位 トレンドマイクロ 1,748億円
  • 7位 日産化学 1,535億円
  • 8位 太陽誘電 1,145億円
  • 9位 コムシスホールディングス 626億円
  • 10位 東邦亜鉛 54億円

さきほどの順位と見比べると大きく入れ替わったことが分かります。
首位のファーストリテイリングの株においては2018年からの5年間で実に1兆円以上も買い増しされました。

また、日銀の保有比率が10%を超えた企業も2018年の28社から72社まで増えており、その中にはトップ10にこそ入らなかったものの、産業用ロボットで世界市場を牽引するファナックや老舗楽器のヤマハ、醤油をはじめとした調味料大手のキッコーマンなどの大企業も含まれています。

数字を見れば一目瞭然ですが、このように日銀の日本企業株の「爆買い」は近年加速しています。

日銀以外にも大株主は存在する

実は大株主と呼ばれる存在は他にもいます。
それがGRIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。

GRIFは2006年に設立された組織で、主に年金積立金の管理と運用をおこなっています。
運用規模は150兆円以上とも言われていますが、政府の年間予算が約100兆円であることをふまえると、その規模の大きさが分かります。

世界的に見てもこれほどの額を運用している年金組織はほかに存在せず、過去には安倍晋三元総理がGRIFを「世界最大の機関投資家」とコメントしたこともありました。

かつては日銀以上に株を持っている時期もあり、「日本市場最大の株主」とも呼ばれていました。

現在も両者合わせると東証一部上場企業の8割以上にあたる1,800社以上の株を保有している状況で、依然大株主として存在感を見せています。

2040年代に65歳以上の高齢者の割合が全人口の25%を超える超高齢化社会に突入する日本ですが、現役世代で賄いきれない不足分はGRIFが運用する年金積立金で充当される方針が示されており、その役割は社会的にも大きいものがあります。

爆買いの弊害であるETF出口問題

2つ前の章で日銀が株を爆買いしていることにふれましたが、日銀が購入している株は一般的にETFと呼ばれるものです。

ETFとは上場投資信託のことで、ファンドマネージャーと呼ばれるプロの運用会社を通して購入します。
商品は複数の銘柄で構成されているため分散投資が可能になる点がメリットです。

しかし、日銀がこれまでに大量のETFを購入してきた結果、その保有額は2024年時点でおよそ74兆円にも膨らんでいます。
これだけ積み上がったETFを今後どう処理していくかが現在課題になっており、これが「ETF出口問題」と呼ばれるものです。

金融緩和を推進するために投資信託を買い入れたのは世界の中央銀行の中で日銀が初めてでしたが、市場の流動性を高めるなど一定の成果を出した取り組みでした。

そのような功績はある反面、個人投資家が株式と同じように投資信託も売買できる目的で開発されたETF市場において、個人投資家の割合が現状で3%程度と本来の目的を達成していない点も課題です。
日銀が保有する株は時価総額で東証一部市場の約7%を占めており、実質的に現状の「日本最大の大株主」になっています。

ETF出口問題については現総裁の植田和男氏も強い危機感を示し、2024年3月にはマイナス金利政策の解除と合わせてETFの新規買い入れ停止を発表しました。

これまでの購入分については売却か活用かで議論が続けられており、まだ「出口」は見つかっていない状況ですが、仮に一斉売却した際は多くの企業の株価が下落するリスクもあるため、慎重に判断されることが予想されます。

日銀は株主優待を受け取っている?

課題は抱えているものの、相当量の株を保有している日銀が企業から一体どのような株主優待を受けているのか気になる人もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、日銀は株主優待を受け取っていません

法律により企業から直接個別の銘柄を購入することが認められていない点が一番の理由です。

また、ETFにおいても運用会社を通して購入しているため、運用会社が業務を委託する信託銀行が株主優待を受け取ることになります。

その際、優待品が金券等であれば換金をおこない信託財産に入れますが、品物によってはそこまで至らないケースもあります。

なお、日銀と並ぶ大株主のGPIFも換金できるものは換金し、換金できないものに関しては寄付に充てています。

株主優待にはデジタルギフトがおすすめ

日銀は組織としての性質や運用面などの理由から株主優待を受け取ることはありませんが、基本的に自社の株を購入してくれた株主には企業側から優待品を送るケースが多いです。

株主優待は企業と株主の距離を縮め、より良好な関係を築くための重要な施策です。

また、株主優待は特に個人投資家に支持される制度であることから近年では優待品の選定も個人向けを意識したものに切り替える企業も出始めています。

ただ、全体的な傾向としてモノである優待品がまだまだ多く、株主によって好みが分かれやすい状況にあるとも言えます。

そこでおすすめなのが、「デジタルギフト®」です。

デジタルギフトは会員登録が不要で、誰でも簡単に自分が欲しいギフトを選べるギフトです。

デジタルギフトは、従来の優待品に多かった商品券や物品とは異なり、QRコードを読み取るだけでその場ですぐにギフトを受け取ることができます。

また、株主優待においては、デジタルギフトの受け取りフローの中に、動画メッセージやアンケートを活用することで、企業と株主様が双方向のコミュニケーションを取ることが可能です。

スマートフォンが普及している現代において、動画を通じてメッセージを伝える方が企業理解が深まるでしょう。

また、アンケートは、株主の株式保有の動機や企業への期待など、リアルな声を集める貴重な機会となり、中長期的な経営戦略を検討する上で重要な役割を果たします。

さらに、これまで手書きのアンケートを集計していた企業にとっては、アンケートの自動集計に切り替えることで、大幅な事務負担が軽減できます。

この機会にデジタルギフトを検討してみてはいかがでしょうか。