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オンライン決算説明会とは?説明会の配信方法から最新動向まで幅広く解説

目次

最近、オンライン決算説明会の導入が、国内各社の間で話題となっています。

海外配信などが自由にでき、注目されている配信方法ですが、課題もあります。

本記事では、オンライン決算説明会について、その導入方法の基礎から、当日までの準備など、詳細に解説していきます。

オンライン決算説明会とは?

従来、会場で実施する方式の決算説明会は、主に投資家や証券アナリストなどに、四半期毎や中間決算と本決算時に、自社の決算・事業報告を行い、さらには今後の事業展望を説明する会となっています。

株主総会と共に、企業のIR活動における重要な場となります。

上場企業の場合は、決算短信の開示義務があり、決算期末から45日以内に開示しなければなりません。

なお会社法で、事業年度の終了後に開催することが義務化されている株主総会と違い、決算説明会自体は、法的には開催義務はありません。

但し、東京証券取引所では、上場企業に対して、決算短信以外に、決算説明会の開催を要請しています。

これに対して、最近オンライン決算説明会が、国内企業、特に上場企業において注目を集めています。

紙で配信する従来の決算短信とは異なり、臨場感があり企業の経理担当者の説明がダイレクトに伝わるオンライン決算説明会は、ますます増加していくでしょう。

このようにオンライン決算説明会は、自社のIR活動の観点からも今後も伸びていくと考えられます。

オンライン説明会における開催方法

オンライン説明会の配信方法には、オンデマンド型、ライブ配信型と、従来の方式を組み合わせたハイブリッド型の3種類があります。

どの配信方法を選択するかは、自社の株主や投資家に対して、どのようにアプローチするのかを考え、最適な方式を決定します。

オンデマンド型による配信

オンデマンド型は、事前に撮影しておいた説明動画を配信する方式となります。

この方式は、オンライン配信とはいえ、リアルタイムの双方向の説明会ではないため、一方通行での配信となるのが欠点です。
後から再度見返すこともでき、投資家にとってもメリットがあります。

日本語で説明しておき、実際に配信するときには、英語翻訳版を作成して、同時に配信することも可能です。
上場企業など、海外の投資家等の動向にも配慮が必要な場合は、英語版によるオンライン決算説明会も重要になってきます。

なお英語版以外にも、説明動画に説明テロップなども作り込むことができるので、できあがった動画のレベルが高く、ライブ配信型と違って、リアル配信時のトラブルなどが起こる可能性がかなり低くなります。

ライブ配信型による配信

ライブ配信型は、文字通りリアルタイムで説明動画を配信する方式となります。

配信と視聴が同時におこなわれるため、視聴者の満足度も高くなり、その場で質疑応答を受付られるメリットがあります。

ただしリアルタイム配信のため、配信時のトラブルや、最近多くなっているネット接続環境の課題が生じることもあります。
また配信にあたっては、会場に撮影機材・録音機材等を準備すると共に、入念に予行演習をしておくことが大切です。
機材側の問題だけではなく、ネット接続環境なども大きく影響し、トラブル時には即対応が求められます。
このため映像関連の技術者に加えて、ネット関連の技術者なども手配します。

ハイブリッド型による配信

ハイブリッド型は、従来の会場方式での説明会と、ライブ配信方式を組み合わせたものになります。
株主総会でも、既に会場方式とライブ配信を併用している場合もあり、割合多くもちいられています。

このオンライン決算説明会では、実際の会場の雰囲気がそのままリアルタイムでも配信されるので、会場に参加できない視聴者にとっては満足感が高い方法です。
ただリアル配信時のトラブルがあった場合に、会場内の進行をどうするかなど、複雑な手順となる欠点があります。

ハイブリッド型配信は、会場+ライブ配信が基本となりますが、これ以外に、リアル会場+オンデマンド型配信といったものも考えられます。
これは会場での決算説明会を実施しておき、その際に撮影した動画を後日、オンデマンド型配信するものです。
国内上場企業において、海外投資家へのIR活動を行う場合にも、有効性の高い方法となります。

オンライン決算説明会の主な流れ

オンライン決算説明会の開催にあたっては、どのような準備をしたらよいでしょうか。
特にはじめて説明会を開催する場合は、入念な検討が必要となります。

配信方法の設定/ネットワーク環境

オンライン説明会において、最初の課題がオンライン配信方法の決定です。

最低限必要なものとしては、「ライブ配信型」を採用する場合は、会場の有線ネット回線となります。
「オンデマンド型」の場合は、後日配信なので、決算説明会後日での設定でも構いません。
「ハイブリッド型」では、ライブ配信も使用するのでそれと同様です。

ライブ配信型の回線設定で重要なのが、安定したネット回線を使用することです。
ネット回線が不安定な場合、配信中に画像や音声が中断してしまうと、かなりの問題となります。
中断や停止がないようにしないと、投資家などの不安をかきたてることにもなります。

また、配信する説明動画や公開資料などのデータ容量も大切です。
データを軽くする工夫などを実施しておかないと、たとえ視聴する側の通信環境が良かったとしても、途中で配信が途切れてしまう場合もあります。
データを圧縮して配信するなどの対策をあらかじめたてておくことが必要となります。

安定した配信サービスを実施している会社に、上記の内容を依頼するという手もあります。
また自社で、Zoomなどをあらかじめ使用している場合など、多人数でのリモート回線での使用頻度が高い会社では、それを利用することも可能です。
Zoom以外に、Google MeetやTeams なども同じようなサービスを比較的安価に提供しています。
ウェビナーのURL発行やアンケート作成もあらかじめ依頼しておきます。

配信時のツールや機材

配信時のツールや機材ですが、最低限、会場事務局用としてパソコン2台は必要です。
2台というのは、もし1台がダメな場合には代替する必要があるからです。

パソコン以外の配信機材でもできれば、2台以上としておいた方が良いでしょう。
というのは、1台が突然故障するということも考えられるからです。
特に「ライブ配信型」や「ハイブリッド型」では必要となります。

またカメラや音響機材やに加えて、配信オペレーターも手配しておきます。
現場にてオペレーションできる人材も大切です。

なお、これらをトータルで準備できるような配信会社もあります。

最近は、高性能なライブ配信カメラなどが比較的安価に手に入ります。
これらのカメラをあらかじめ自社で用意して使用している場合は、それを利用するという方法もあります。
パソコンもそうですが、あらかじめよく利用している機材を使用する方が、問題がすくなくなります。
突然中断したりした場合、慣れた機材の方が、自分で処置できる割合が高くなるからです。
カメラ撮影しているとき、質問者と回答者の視点の切り替えなどができれば、より臨場感のある決算説明会になります。
これには専門的な技術が必要ですが、配信オペレーターに当該技術があるときは、これらを利用する方法もあります。

決算説明会の案内・リハーサル

機材準備と同様に、決算説明会の案内やリハーサルも重要です。
機関投資家や個人投資家へのアプローチリストに、あらかじめメール配信を実施しておきます。

視聴者が機関投資家などの場合、使用できる配信プラットフォームに制限がかかっているケースがあります。
たとえばZoomではなくTemasを会社で指定しているような場合が考えられます。
自社が利用を予定している配信プラットフォームを投資家が使用できない場合、その投資家は決算説明会自体に参加できません。
Zoomウェビナーでは、YoutubeやFacebookなどのプラットフォームと連携し、同時配信ができる機能もありますので、それらを利用する方法もあります。

説明会案内メールの配信時に、「視聴する場合のプラットフォーム」をアンケートで聞いておくとよいでしょう。
重要な投資家の場合には、後日「当日の説明会動画」を、オンラインまたはオフラインでとどけるなどの対応をしておきます。

次に、本番同様の形式でリハーサルも実施します。
決算説明会で使用するスライド資料をもちいて、リハーサルをしますが、当日は説明者が役員(CFOなど)でリハーサルには出られないときもあります。
自社のIR担当者などで同様に実施しておき、問題がないかあらかじめ検討しておくようにします。

日本では質問は、当日にまかせておくというときもありえますが、欧米ではあらかじめ模擬質問をして対策をねってている場合が多いようです。
投資家の多くは、話を聞いたあと「その場で質問したい」という希望が強い場合もあります。
決算説明会でも、あらかじめ音声による質疑応答ができるよう準備しておくことが大切です。

開催当日の運営とアフターフォロー

このように準備しておけば、当日の運営自体の負荷も低くなり、説明登壇者自体のストレスも低くなります。
決算説明会はそれほどではないと思われるかもしれませんが、場合によっては株価に反映するような場面も考えられます。

決算説明会開催後のアフターフォローもかなり重要です。
寧ろ、アフターフォローが次回以降の自社決算説明会への参加意向を左右させるかもしれません。
なんらかのインセンティブがあると、次回以降も出席意欲も高くなる効果が期待できます。
(次の項目で、さらに詳細説明します)。

説明会終了後に、視聴参加者からのアンケート回答や、できれば説明会Q&Aも提供しておくとよいでしょう。

なお場合よっては、配信で使用した説明資料データをダウンロードできるようにしておくことも大切です。

オンライン決算説明会に参加した株主様へ、感謝を伝えるためにデジタルギフトを活用できる

既に記載しましたように、決算説明会開催後のアフターフォローが大切です。
デジタルギフト®では、オンライン決算説明会にも利用できるサービスを提供しています。

デジタルギフトはオンライン決算説明会にも使用できます。
このような説明会後のアフターフォローとして活用すれば、次回の説明会への参加意向にもつながることが期待できます。
なお、0~120秒の視聴最低時間を設定することで、動画を視聴してからギフトを受け取っていただくフローを追加することもできます。
オンライン決算説明会のお礼に加え、自社の業種紹介など、広範囲な利用が可能です。

オンライン決算説明会のメリット・デメリット

オンライン決算説明会について、実施の際の注意点などについて既に記載しました。
ここではさらに、そのメリット、デメリットについてもまとめました。

オンライン決算説明会のメリット

国内外の多数の投資家が出席できる

海外の機関投資家などの大口株主の場合、なかなかリアル開催の決算説明会には参加できないことがあります。
「ライブ配信型」の場合には、先に記載しましたように、オンライン説明会では、このような忙しい投資家などの参加もハードルが低くなります。
なぜなら、リモート会議などは既に必須の形態になっており、オンライン決算説明会に参加するハードルも低くなっているからです。
またわざわざ飛行機代などを支出し、時間をかけて日本まで来る必要がありません。
最近は、航空機による移動自体が、脱炭素にも逆行するのではないかというような意識を持つ団体や機関もあるかと思いますので、オンラインはずっと安心です。

リアル開催での会場コストが低減できる

オンライン開催でも、各種機材とネット環境設定に費用がかかりますが、大きな会場費用のコストのカットが可能です。
また大きな会場を使用する「ハイブリッド型」では、会場費の削減は難しくなります。
リアル開催の場合は、通常は大きなホテルなどの会場を借り来ることが多いようですが、
このような費用はいりません。
オンライン開催なら、自社ビルの中の会議室を使用することも十分可能です。

オンライン開催動画の保存と共有が可能となる

「ハイブリッド型」では、最初から動画の保存とその後の共有が必要となります。
「ライブ配信型」は、ライブ配信された撮影動画をそのまま保存することも可能です。
これをアーカイブ化するかどうかは、各社のIT戦略にもよりますが、もしアーカイブ化しておけば、自社情報のPRにも使えます。
またなにより、オンライン開催でも参加できなかった大口投資家などに後日見てもらうことができます。

またこれ以外にも、多数の投資家の航空機や電車などでの移動が不要となるので、環境にはやさしいことになります。
末端での話と思われるかもしれませんが、脱炭素関連の企業会計などでは、欧州などで既に一部は取組まれています。

オンライン決算説明会のデメリット

安定した配信環境を設定しておく必要がある

「ライブ配信型」でのオンライン開催の不利な点は、やはり配信環境の設定と維持となります。
「配信方法の設定/ネットワーク環境」の項目で詳細に説明しましたので、そちらをご参照ください。
なお、自社・他社依頼を問わず、準備段階から当日の専門配信人材をそろえておくとよいでしょう。
「ハイブリッド型」でも、デメリットは、従来の会場方式での機材・人員配置に加えて、「ライブ配信型」と同じ機材・人員配置が必要になることです。
もちろん機材については、かなりの部分で兼用できますので、それほどは負荷がかかることはありません。

参加者の反応が十分に伝わらない

こちらも先ほど記載した内容と重複しますが、「ライブ配信型」では参加者の反応をリアルで受診できるような技術も取り入れるとよいでしょう。
配信中のチャット機能を利用するとか、やはり質疑応答の部分を充実させれば、参加者のストレスや、自社発表者の不安の低減効果もあると考えられます。
またオンライン開催後に、デジタルギフト®などのツールを利用して、アンケート調査を実施するのも有効です。

オンライン決算説明会の最新動向

オンライン決算説明会が国内でかなり実施されるようになってきたのは、最近のことです。
ノウハウも蓄積されていない部分も多いので、試行錯誤の部分もかなりあります。

国内大手企業では、オンライン説明会についていろいろな検討や準備をしています。
先にも触れましたが、配信時のプラットフォームの選定はかなり重要な部分となっています。
特に海外株主が数割以上とか、半数近くいるような企業では、安定したプラットフォーマーを指定している場合が多いようです。

また海外投資家も対象ですので、同時翻訳が大切です。
AI翻訳でテロップなどを付ける方式も考えられますが、やはり同時音声通訳でないと安心感がありません。
このため、それなりの翻訳実務を担える人材や依頼先も必要です。

会場は大きな場所は必要ではないですが、当日の進行を考えて、レイアウトを決めるときには、登壇者の表情やしぐさなど臨場感が伝わるようにすることも重要です。

登壇する役員の距離をなるべく近づけながら、安心していただける距離感を保てるようなカメラワーク(設置場所やズームなどの機能)も大切なようです。
オンライン上のカメラ画角やレイアウトをリハーサル時に入念に確認している企業もあります。

なおこれらは、リハーサル時に十分に確認しておき、当日を迎えるようにしましょう。

また国内製造系の企業でも、ライブ配信のシステムを自社開発している企業もあります。
このような場合でも、当日の配信時に外部人材などが参加するときは、事前に相談・調整(どの範囲を分担するか等)しておくことが大切です。

まとめ

オンライン決算説明会について、その導入方法の基礎から、当日までの検討・準備など、オンライン説明会に関心のあるみなさまに、なるべくわかりやすく解説いたしました。

決算説明会という従来は地味な業務でしたが、最近は、海外投資家などの関心を俄然集めています。
また国内株式に対する海外からの反応も、さらに高まっています。

是非、本記事も参考にしていただき、自社のオンライン決算説明会を無事に開催していただければ幸いです。